池っち店長のTCG業界情報。2019年期8月末までの分析 来年、アナログTCG関連企業の株価が上がる。

  • 2000.10.01 Sunday
  • 13:38

お待たせいたしました。TCG業界情報2019年期、8月末までの情報をお伝え致します。

データは全て、螢瓮妊アクリエイト様より、許可を得て転載しているものです。

(注・玩具業界は4月から翌年3月末までを「一期」と数えます。)

 

TCG業界2019年期累計情報
4月〜8月累計売上 476億円
去年同時期     380億円
昨年対比      125%

 

■解説
TCG業界は過去2011年に、年間総売上が1000億円市場に達し、社会的なニュースになっています。

(社会的なニュースになってどうなるかと言うと、つまりTCG関係の株価が上がるって事です。)

「カードゲームは売れる」との認識が広がり、当時はアナログTCG事業へと参入する企業も増えました。

しかしその後、新規参入企業もほぼ全て企画失敗。(アナログのノウハウを甘く見たから……)業界全体の年間売り上げも1000億円をギリギリ超えられず、業界的には伸び悩みました。

近年はモバイルゲームの流行や、デジタルTCGの台頭により、
「紙のゲームはもう古い。未来がない」
と囁かれ、メーカーもそちらの方へと舵を切る所が増えていました。

どっこい。アナログTCGは大復活を遂げました!今年のデータをご覧下さい!

4月から8月末までの累計で476億円!

一年の三分の一の4ヶ月で、約500億の売り上げ!今期は1000億を確実に超え、なんと驚くべきことに

1200億円以上の市場へと、爆発的急成長が目に見えています!

 

これを、「ポケモンが凄いから。」だけで判断するのは間違いです。ポケモンは凄い。しかしポケモンのメインプラットフォームであるゲームソフトの売上本数が、シリーズを追うごとに下降気味なのに対して、
https://www.gamehuntblog.com/entry/pokemon-sales-history

ポケカが今になって爆発した無視できない理由の一つに、
「紙のカードゲームというアナログの基本的な魅力」
があると思われます。

 

20年間の間に育った「TCG世代」の多くにとって、TCGとは、
「いつもどこかでつながっていたいホビー」
であり、キッカケと環境さえ整えば、社会人になったあとでも「続けていたいホビー」だと言える
のでしょう。

 

今のポケカブームは、ユーチューバーの告知や映画、ポケモンGOなどの盛り上がりという「キッカケ」、そしてマニアックなカードショップに行かなくても「同世代の友人同士で集まって楽しめるゲーム」としての「環境」が揃った結果の、リバイバルと言えるでしょう。

無論、仕掛けたのは「人間」です。今回のブームは偶発的なものではなく、綿密に計算されたプロモーションあっての事である事は、無視できません。

つまり、アナログTCGは、まだプロモーション次第で売れるのです。例えそれが、新規タイトルであっても、「キッカケ」と「環境」次第だと僕は思います。

勿論ポケカのように「強いタイトルを、紙のゲームに乗せる」というビジネスモデルも今後もまだ、強い商品を生み出す土壌となり続けるでしょう。

トレーディング・カードゲームというホビーの「地力」は、一般の想像以上に強烈なものであり、もはやTCGというホビーは、新しい、古いで判断できないジャンルへと成長したのではないでしょうか。


■各タイトル  4月からの累計売上/昨年対比
順位
1 デュエルマスターズ    127.1億円  125.95%
2 遊戯王OCG               100.4      97.29%
3 ポケットモンスター      88.0      297.33%
4 ヴァイスシュヴァルツ   31.3        114.05%
5 MTG                          26.4      177.15%
6 ヴァンガード               24.8      107.11%
7 バトルスピリッツ         19.3      108.57%
8 バディファイト            12.4        72.74%
9 ウィクロスTCG              6.5        92.39%
10 Z/X    ブロッコリー       6.5        115.68%
11 ラブライブ!スクコレ       2.4        91.58%
12 ファイアーエムブレム     1.7        85.38%
13 リセ                             1.3        159.36%
14 白猫プロジェクトTCG     1.1        91.93%
15 プレシャスメモリーズ     0.3        133.73%

 

■解説
今期はデュエルマスターズがナンバーワンTCGで間違い無さそうです。競技環境も整っており、ゲーマーにとって非常に魅力的なTCGになってきています。

率直に言って、遊戯王OCGが今後、これを覆すのは難しいかと思います。

(こんなことを書くと確実に「動物」が「池田がまた遊戯王をディスっている」と言いますが、一つの分析としてお読み下さい。)

遊戯王デュエルリンクスとの相乗効果は確かに大きかったのですが、ある意味でこれは、「最後の一手」でした。

デュエルリンクスで久しぶりに遊戯王に触れたユーザーが、アナログに帰ってくる……その動きはたしかに有りました。しかし、やはり「リンク召喚」の違和感による壁は大きく、
「久しぶりに触れたけど、昔の遊戯王と全然違う。」
との感想で、そのままアナログ遊戯王に帰依する人は、伸び悩んでいるのが実情です。

勿論、デュエルリンクスは単体としてのビジネスとしても大成功しているので、アナログTCGの成功、不成功だけでなく、「遊戯王はヒットしている」と言えるのですが、率直に言って、KONAMIさんの営業の人達の中にも、
「リンクルールさえ無ければ、もっと売りやすいのに……」
と思っている人達がいるかも知れません。

 

個人的には、世界中を虜にしたTCGとは「初期の遊戯王OCGである」と思っているので、初期遊戯王が楽しめるデュエルリンクスは「これぞ求められていたものだ」と思っていたのですが、リンクスの方も急速に難しくなっている現状に、危機感を抱いています。

 

カードゲームは、「ゲーマー」が作ってはいけない……

 

デュエルマスターズに話を戻しますが、こちらも勿論、問題がないわけでは有りません。

(デュエマについてはネガティブな事を書いても、「ただの分析」として冷静に受け止められ、「池田がまたデュエマをディスっている」とは殆ど言われないという事実。)

 

大人からは、「子供向けTCGなので仕方がないが、ジョーカーズの絵が幼稚臭くて乗り切れない。」という意見。
子供や初心者からは、やはり「難しい」という声も。

 

僕個人にとってデュエマは、本当に面白く、昔から馴染みのある思い入れのあるTCGなのですが、そうでない人達にとってデュエマは、

「いまや最大大手のTCGであり、TCGをやるならこれか遊戯王しか選択肢が無いため、成り行きの帰結としてデュエマをプレイしている。

という側面も、実は無視できないほど大きいのかも知れません。

(そのはけ口として、MTGに行く人が多いのかも知れませんね。ウィザーズとしては正しいのか。)

 

ポケカは去年のブームが始まってから一年。つまり昨年対比で6倍!などの驚くような数字はもう出てきませんが、むしろ昨対より累計販売金額を見るべきでしょう。

遊戯王に迫っています。

 

さて。今回は一つ、カードゲーム業界の基礎知識である、「各タイトルの大体の規模感」をお伝えしておきましょうか。


■四段階に分かれるTCGの売り上げ

ここ10年の規模感でお話します。

遊戯王とデュエマは、1年間に大体、200億から300億売れるTCGでした。
この2つ以外に、この規模のTCGは有りません。(でした)

3位につけていたヴァンガードやヴァイスシュヴァルツは、年間に50〜60億ぐらいであり、上位2つのTCGの売り上げは、文字通りずば抜けていたのです。

売上規模は、以下のように大きく四つに別れていました。

 

◯200億から300億
遊戯王、デュエマ

 

◯30億から60億
ヴァンガード、ヴァイスシュヴァルツ、ポケカ、バトスピ、バディ

 

◯5億から10億
ゼクス ウィクロス 

 

◯それ以下

 

上位と中堅では、こんなに差があるのです。

TCGはだいたい、年間一億円売れたらギリギリ何とか、「事業として続けることが出来るレベル」だと言えます。二億あれば「事業として成り立っている」と言えるレベルです。

そして、10億を超えると、大ヒットと言えますこの規模から、一クール程のアニメ番組を作ることが出来ます。一クールのアニメを作るのに大体二億円ほどかかるので、このぐらいの市場規模が必要になるんですね。

 

10億前後で伸び悩むTCGはたくさんあります。特にタイトルは言いませんが、上のリストを見るとイメージは掴めると思います。

 

ここから「越えられない壁」があり、これ以上先は、いきなり30億以上のTCGに化けます。ヴァンガードやヴァイスシュヴァルツ、そして最盛期のバトルスピリッツ等がこれですね。

これらは発売したときのスタートダッシュで「30億以上のTCG」へと到達したもので、プロモーションと企画、そして内容の全て噛み合った勝利故の大ヒット作、と言えます。

(2億円TCGでも成功と言えるんですよ?だってそこまで行かないTCGがほとんどなのですから……!)

 

これらの規模のTCGが出来ると、何が起きるかと言うと、具体的にはブシロードさんが出来ます。(笑)

あっという間に上場企業となったブシロードさんは、今では多角的なコンテンツプロモーション企業ですが、「TCGのヒットによって成長した企業」です。KONAMIさんが大企業になったのも、遊戯王OCGのヒットゆえ。

 

アナログカードゲームは、大ヒットするとビビるぐらい「儲かる」のです。

 

もちろん、失敗も多く、成功させるには「目に見えないノウハウ」が多い、舐めて掛かれない業界です。

とは言え、モバイルゲームで当てようとするより、余程ライバルの少ない世界ですし、ノウハウのある人間(ゲームが強い人間の事ではない!)をとっ捕まえるだけで成功できる事業なんですけどね?(お仕事の相談はいつでも受け付けています。)

以上、TCGの「4つのレベル」についてでした。


■次元を超えたポケカ

上記の「4つの次元」は、普通、覆りません。上から下に落ちることはありますが、上の次元にアップすることは、殆どなかったのです。

しかしポケカは、年間30数億の規模から、一気に200億オーバーの規模に拡大しました。次元を超えたのです。

元々ポケカは、1996年の発売時に社会的ブームを巻き起こし、その時に数百億市場になっています。(データが無いので、正確なことは言えませんが)

それが長い間低迷していただけなのです。

つまり、今が凄いと言うより、「最近までが駄目だった」ということですかね……いや、時代の準備が必要だった、という事でしょう!(笑)

 

ですから今回のブームは「復権」と言えるものです。が、長い間「中堅」だったポケカが、今になって再ブームになった原因は、詳しく分析すればするほど興味深いものです。

僕なりに色々と細かい話は知っているのですが、ここでは一つだけ話しておきたいと思います。

今回のポケカブームは、火のついていない薪に、しかるべき手段で火を付けた「人」の手によるものです。偶然ではなくほぼ全て計算です。

やはり世界を動かすのは、創造性のある人間なのだな、と感じ入る次第です。


■伸びる店と、潰れる店

TCG業界は、長年の間ビッグタイトル2つが牽引する市場でした。具体的にはデュエマと遊戯王OCGの2つだけで、業界全体のシェア率を六割以上取っている世界だったのです。

つまり、遊戯王かデュエマの調子が落ち込むと、お店がバタバタと潰れる「柱の少ない危険な状態」でした。

僕は「第3、第4の柱を作っておかないと、店が潰れる」との考え方を周知させ、業界の危機に備える為に、この「メディアクリエイト情報まとめ」を発表し始めました。

(カードキングダムが比較的、売れるかどうかわからないTCGにも最初から力を入れるのは、この「柱を増やす」という考えに基づいての事です。)

 

果たして予言通り、「リンクショック」により、柱を育てていなかった店舗はバタバタと潰れました。現在生き残っているお店は、地方のお店であっても、何らかのマイナーなTCGを流行らせていたりして、独自色を打ち出すのに成功している店舗が多いように見えます。

リンクショックは落ち着きましたが、次の淘汰がやってきました。

ポケカにキチンと注力できているか、です。

最初に記載したデータの通り、業界全体は昨年対比125%と空前の好景気です。

ですが、TCG自体は好景気でも、乗れている店と乗れていない店の差が激しいのが現状です。

 

「リンクショックは何とか乗り越えた。しかし業界データと逆に、自分の店は昨対を下回っている。」

(または、伸び悩んでいる)

 

こういうお店の方々が、「外に原因を探す」と、こう考えます。

「通販が強くなっているから。」
「都心と地方は違う」

それもあるでしょう。しかし、反証も存在します。

 

カードキングダムの直営店は、徳島店を除いて全て関東圏にあります。これらの店の中で、昨年の売上を下回っている店は一つもありません。

川口店や溝の口店と言った、「都心とは言えない、微妙なポジションの店」という、いわば「地方都市規模」の店の伸び率が、特にずば抜けています。

旗艦店、カードキングダム秋葉原駅前店は、通販無し、店頭だけで、毎月5000万前後の売り上げを叩き出しています。

 

「通販が強くなって店で物が売れない」という考え方は、これによって説得力を失います。

 

また、「なんだかんだで東京では話が違うのだろう」という意見に対しても、反証があります。

東京でも、潰れる店は未だに次々と出ていますし、何より「カードキングダム徳島店」は、典型的な地方のカードショップで有りながら、今もなお昨年売り上げを超え続けているのです。

 

通販と地方性、共にゼロとは言いません。特に通販は大きな問題でしょう。

 

しかし、それを跳ね返せる方法があるのですから、実はまだカードショップには、「やれていないこと」があるのです。

「カードキングダムは大手だから……」
とお考えの方がいらっしゃるなら、「関係ない」と断言しましょう。

 

僕は幾つもの、「カードショップが今やるべきこと」を知っています。直営各店の成績がいいのは、それが出来ているからに過ぎません。

 

もし、「話を聞きたい」というご同業の方がいらっしゃいましたら、いつでも東京に来て下さい。お教えします。それが少しでもTCG業界の助けになるのなら、実例を上げてご説明いたしましょう。

 

とりあえず、一つだけ。

カードショップは伝統的に、ポケカの専門家を立てていないお店が殆どでした。(色々事情があります)

しかしこれは、ポケカブームが起こった一年前に、すでに手を打たなければならない所でした。適当に扱うのではなく、「専門家」を立てるべきなのです。

もし、出来ていないなら、今からでもポケカのシングルやオリパをメイン商材の一つにするべきでしょう。売り場を入口から見える場所に移転させ、店の外から、デュエマや遊戯王だけでなく「ポケカ屋さん」に見えるよう造作するのです。

新規客が沢山いらっしゃるはずです。こんなのは初歩の初歩ですが。

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